そうだ、精神科へ行こう。

2019年11月、私は生まれて初めて精神科に行きました
吾妻ひでおのマンガ『アル中病棟(失踪日記2)』を読み、自分がアルコール依存症だと確信したからです。

当時の私は毎日呑んでいました。仕事のない日は朝から呑み、仕事がある日も現場から現場へ移動する合い間に呑み、カラダからアルコールが抜ける暇がない状態でした。

カラダの奥の奥までアルコールが染み込み、自分の細胞の一つ一つが「もっと酒を、もっと酒を」と連呼・要求する大音声が聞こえていました。これは幻聴だったのでしょうか。

アルコールが切れると頭痛がし、眠れず、それなのに寝汗をかくという不思議さ。離脱症状のせいです。
だからアルコールを入れさえすれば、胃痛も頭痛もスーッと遠のくのでした。むしろ面白かったですね。もちろん睡眠薬としてもアルコール最高。手放せませんでした。

しかし当然のことながら慢性的に胃腸は調子悪く、出てくるのは下痢便かネトッとした臭くて嫌なウンコ。
肝臓の具合も心配でした。

記憶力と集中力の低下も気になりました
こんなことが続いて起きたのです。たとえばパソコンをオンにしてから自分は何を調べようとしたのか思い出せません。椅子から立ち上がった瞬間、どこへ行って何をしようとしたのか忘れています。毎回そんな有り様でした。
アルコールを長年呑み続けると、脳が委縮することが知られています。

膵炎も恐怖でした
チュートリアルの福田充徳、次長課長の河本準一、中川家の中川剛の膵炎体験を読みました。アルコールのせいでこんな痛いをしなければならないのかと、身がすくみました。
膵炎に関する記述を大ベストセラーになった『酒好き医師が教える最高の飲み方』(葉石かおり著 浅部伸一監修 日経BP社)から抜き出してみます。

一度、膵炎を発症したら膵臓の機能が元に回復することはかなり難しい。さらに膵炎が進行すると、現代の医療では発見や治療が難しいとされる膵がんの発症リスクも高まってくる。

膵臓は、消化に関わる重要な役割を担う臓器です
血糖値を下げるインスリンを分泌するのも膵臓です。
その膵臓の機能が回復しないということは、アルコールが呑めないどころか毎日の食生活にも深刻な制限がかかるということです。揚げ物などの高脂肪の食事は避け、煮物や焼き魚など、あっさりした和食系をチョイスし続けなければならないのです、一生。
そんなん生きてる意味ないやん。

しかしもっとも私を憂鬱にさせたのが脳へのダメージでした。
さらに『酒好き医師が教える最高の飲み方』から引用します。

①一般的に脳の萎縮は、30歳を過ぎた頃から始まるとされている。避けられない加齢現象の一つだが、アルコールが加わるとかなり進むと考えられている。

②同じ年代で酒を「飲む人」と「飲まない人」の脳をMRI(核磁気共鳴画像法)の画像で比べると「飲む人」の脳は、「飲まない人」の脳に比べ10~20%ほど萎縮していることが多い。


③最近では飲酒量と脳の萎縮の程度は正の相関にあり、飲酒歴が長い人ほど進行が早い、との研究も発表されている。


④萎縮による代表的な自覚症状の一つが記憶力の低下で、急速に進むと認知症にまで進展してしまうこともある。


⑤日常的にアルコールを大量に飲んでいた高齢男性を調査した研究によれば、あまり飲まない男性に比べ、認知症の危険性が4・6倍、うつ病リスクが3・7倍との報告もある。


⑥脳にとってアルコールは、生理学の観点から言っても、そもそも毒である。


のです。
私は恐怖ですくみあがりました。眩暈がしました。手遅れにならないうちにアルコールやめたい…。

そんな私を勇気づけてくれたのが冒頭に紹介した、
吾妻ひでおのマンガ『アル中病棟(失踪日記2)』でした。
このマンガを通して吾妻ひでおは「アルコールをやめたいのなら。とりあえず精神科に行ってみなよ。アルコール依存症の治療を受けたいとね。僕のように入院して断酒する方法もあるし、通院ですむかもしれない。案ずるより産むがやすしさ。行動、行動」と耳打ちし、後押ししてくれたのです。

私にとって精神科の敷居は高く、抵抗感はありましたが、精神科へ行こう、そう決心することができました。
私は近所の精神科と心療内科をネットで調べ、予約の電話をすることにしました。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする